築160年を超える歴史的価値のある本格木造住宅の大規模修繕・リフォーム
蔵の解体
解体前
施工中
施工後
蔵を解体した際、壁に造りつけられた棚をはずした所、このような背板がでてきました。この土地の昔の風景が描かれた古絵がたくさん貼られていました。
医院解体→駐車場
施行中
施工後
お隣の塀
施主様が当初相談されていたハウスメーカーが勧める通りに、もし取り壊されていたとしたら、非常に貴重な文化財が失われていたところでした。工事中にこの建物の内外や構造をつぶさに目にして、素晴らしさを見るにつけ、取り壊されなくて本当に良かったと胸をなでおろす思いでした。
(特に、基礎のすばらしさは言葉にできないほどでした。最近の住宅は基礎の構造からして日本の気候に適していないために劣化が激しく、基本的な部分をやり替えなくてはならないことが多いのです。)
確かに施工前は、激しい劣化の部分ばかりが目につきます。しかし、一見古いということは、寒さ、動線、住器が使いにくいだけのことで、そういった不便は近代的なリフォームで充分解消します。
古いならではの不便さはリフォームで改善できる上、解体中に調査したところ構造についても何ら耐震上の問題はありませんでした。問題がなかったとはいえ、せっかく土台がむきだしになるので、修繕と念のための耐震補強は施しましたが、基本的な構造や材料は時を経ても尚強固で素晴らしいものでした。この160年以上の間の地震に耐えて何ら建物にはダメージがなかったことを目の当たりにし、改めて日本の伝統的な木造建築技術の真髄を垣間見た思いでした。おそらく、取り壊して新築を建てることを勧めたハウスメーカーは、こういった歴史的な建物から学ぶ気もなければ、このような技術の価値を理解もしていないのではないでしょうか。残念ながら、商売の道具としか思っていないのではないだろうかと感じざるを得ません。
本来、誰が見てもわかるようなこういったことが日本中で見過ごされているのが、残念な日本の建築業界の現状なのです。この歴史的な文化財は救うことができましたが、日本中で歴史的な財産ともいえる建物が古いという理由だけで、なんの躊躇もなく取り壊されているのです。